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第一級陸上無線技術士国家試験に合格するためには

2回の国家試験で第一級陸上無線技術士(以下陸技)の国家試験に合格することができる見込みです。

合格発表は2月10日ですので、万が一落ちていたら笑ってやってください。

 

まだ合格できたとも決まっていないのに偉そうに、これから一陸技を目指す方へ向けて、勉強法などを記録に残そうと思います。

 

 

陸技とは?

この記事を読んでいる人には説明不要だとは思いますが、念のために。
無線設備の技術操作を行うために必要な資格です。
業務独占資格であり、この資格がないと操作が出来ません。
似たような名前の資格に第一級陸上特殊無線技士がありますが、操作が範囲が大きく異なります。
とはいえ、だいたいの無線は一陸特の範囲で十分な事が多いです。

 一陸技の操作範囲

・無線設備の技術操作(アマチュア無線局の操作を除く)
・第四級アマチュア無線技士の範囲に属する操作

 一陸技以外の資格では基本的に操作できる範囲が「空中線電力○○W以下」であるとか「○○Hzから○○Hzの周波数」とか、制限がありますが、一陸技の場合は単に「無線設備の技術操作」となっており、全ての無線局の技術操作が可能です。
ですので、技術操作に関して言えば、無線従事者の最高峰ということになります。
技術操作とは別に通信操作と呼ばれる物もあります。モールス通信とかですね。
通信操作を行うためには通信士の資格が必要です。

 

陸技になるには

基本的には年2回実施されている国家試験に合格する必要があります。
国家試験は7月と1月の平日連続2日間で行われます。
平日2日間というのがなかなかハードな資格です。
社会人だと会社の協力があるか、もしくは年次有給休暇が取りやすい環境で無いと厳しいかもしれません。

 

試験科目は4科目あります。
法規は100点満点中60点で合格、試験時間は2時間です。
それ以外は125点満点中75点で合格、試験時間は2時間半です。
全ての科目で科目合格制度があり、科目合格してから3年間は試験の免除を受けられます。
つまり時間とお金が許すのであれば7回の試験で4科目に合格すれば良いことになります。

試験科目と内容は下記の通り(無線従事者規則より抜粋)

無線工学の基礎

(1)電気物理の詳細
(2)電気回路の詳細
(3)半導体及び電子管の詳細
(4)電子回路の詳細
(5)電気磁気測定の詳細

無線工学A

(1)無線設備の理論、構造及び機能の詳細
(2)無線設備のための測定機器の理論、構造及び機能の詳細
(3)無線設備及び無線設備のための測定機器の保守及び運用の詳細

無線工学B

(1)空中線系等の理論、構造及び機能の詳細
(2)空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の詳細
(3)空中線系及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の詳細

法規

電波法及びこれに基づく命令の概要

 

法規は概要で良いんですが、無線工学の試験は全て詳細な知識が求められます。
それだけにとどまらず、試験範囲が大変広いです。
そのため、広く、深い無線工学の知識が必要になり、無線工学の試験では無線従事者国家試験で最も難しいと言われています。

 

試験対策に必要なもの

上記に記したとおり、難易度は大変高いため相応の対策をする必要があります。
対策に絶対必要な物とあると便利なものを記します。
教科書類は東京であれば秋葉原書泉ブックタワーに行くと一通り揃いますが、アマゾンでも良いんじゃ無いかと思います。

 

絶対に必要なもの

・情報通信振興会 無線従事者国家試験問題解答集

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これがなければどうにもならないと言っても過言ではありません。
陸技の国家試験対策は過去問にはじまり過去問に終わります。
過去問そのものはインターネットでダウンロードできますが、解説がないとまず理解できないと思います。この問題集には簡易的ながら解説がついていますので必ず必要です。
分厚くて重く、持ち歩きに難があるので私は裁断して製本テープで固めて分冊化しました。

・十分な時間と折れない心

少なくとも私の頭では数週間の勉強では対応出来るレベルではありませんでした。
長期的に相応の時間を犠牲にする必要があります。
様々な誘惑に負けずに勉強を続ける必要があります。

 

あると便利なもの

東京電機大学出版局 1・2陸技受験教室シリーズ

いわゆる教科書です。ただし、勉強は過去問演習が中心ですので、必ずしも必要ではありません
過去問の解説を読んでもわからないところや、理解を深めたいときに役に立ちます。
が、一式を新品で揃えると1万円ぐらいかかりますので、お金に余裕がある方以外は不要かもしれません。
私は古本で揃えましたがあまり使いませんでした。

なお、これ以外にも対策用の教科書はありますので、必要な方は書泉ブックタワーなどの専門書に強い書店で読み比べてみても良いかもしれませんね。

東京電機大学出版局 高周波の基礎

こちらも教科書です。無線工学を学ぶに当たっての基礎知識である高周波に関することが1冊にまとまっています。
私は2回目の受験直前に買って軽く読みましたが、もっと早めに読んでおけば理解がより深まったのでは無いかと感じました。
が、人それぞれですので、大学図書館とかで軽く目を通してみて、良いなと思えば買えば良いと思います。

・情報通信振興会 電波受験界

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無線従事者国家試験対策用の月刊誌です。連載などもありますが、一陸技であれば毎号買う必要はありません。
5月号に1月期、11月号に7月期の国家試験の過去問の解説が載りますので、この号だけは買っても良いかもしれません。

・暗記カード

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大判のものがあると電車内での公式暗記に役立ちます。
私は紙の暗記カードを使いましたがアプリとかでも良いと思います。

・第一級陸上特殊無線技士

もしあなたが無線に関して全くの素人あれば、一陸技にチャレンジする前に下位資格である一陸特を目指すことをオススメします。
一陸特で学んだ基礎知識は一陸技の勉強に大いに役に立ちます

電気通信主任技術者(伝送交換)

伝送交換主任技術者の資格があると無線工学の基礎と無線工学Aの試験が免除になります。
4科目中半分が免除になるのは大変大きいです。

 

基本的な勉強方法について

陸技の問題は過去問からの出題が大変多くなっています。
ですので、どの科目でも過去問演習を繰り返すのが効率的です。
試験に合格することが目的であれば教科書を読む必要はありません
もし教科書を用意したのであれば、過去問を解くのに必要な時だけ開きましょう。

 

過去問を読む

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まずは過去問題を読みましょう。
多分初回は問題を読んでも全くわからないと思います。なので、答えを見ながら読み進めていく形になります。
ただし、情報通信振興会の過去問は問題と解説が別のページにあるため、行ったり来たりするのは非効率的です。
ですので、最初に私は過去問のPDFデータをプリントアウトし、事前に赤ボールペンで答えを書き込み、それをひたすら読むことをやりました。
過去問を単純に丸暗記するのでは無く、きちんと前後の文章を理解することも重要です。何故ならば、似たような問題であっても穴埋めの場所が変わることがしばしばあるからです。

 

過去問を解く

何回か読んだら実際に問題を解いてみます。
問題演習を進めるに当たって重要なことは「勘で答えない」ことです。
対策中は勘で答えてまぐれで正解してしまうことのないように自分に厳しくやりましょう。
でないと自分の苦手なポイントがわからなくなってしまいます。
ひたすら繰り返しやっていけば、だんだん問題が解けるようになるはずです。

 

手計算について

無線従事者国家試験では電卓や計算尺の使用は出来ません。
そのため、計算は全て手計算で行う必要があります。
特にしばらく手計算を行っていないと、事前の勉強の時に電卓に頼りたくなります。
が、電卓に頼りっきりでいるといざ本番の時に対数計算やルート計算が出来ずに苦労する羽目になります
私は事前の勉強の時点から電卓はあまり使用せずに、手計算する訓練も行いました。
当然、事前対策中は貴重な時間をただの筆算に食われることになりますが、これは実際の国家試験の際にも大いに役に立ったため、無駄な時間では無かったと思います。

 

科目別の傾向

無線工学の基礎

ごめんなさい、ほぼ対策せずにまぐれで受かってしまったため書けません。

無線工学A

知らないと解けない」理論系の問題が多いです。
私はこの科目が好きだったため、理論を理解しながら楽しく対策できましたが、覚えるべき事が多く、苦手とする人が多い科目です。また、新技術の新問が出てくる事もしばしばあります。
私は一陸特の知識をベースに理論を理解するように努めました。丸暗記が苦手なので。

無線工学B

電波伝搬空中線の内容なので、実務経験者やハムの方はそれほど苦労しないかもしれません。
また、分野として成熟しきっているので、ほとんど過去問からの出題です。ただし、出題の仕方が変わることもあるので単に丸暗記するのは禁物。
覚えるべき計算式が多くありますが、相互に繋がり合ってる事も多いので、自分で覚えやすい形で覚えて、必要に応じて導けるようにすると便利です。

法規

こればかりは丸暗記するしか無いです。
ほぼ過去問通りですので丸暗記しましょう。
ただし、法令は変わることもあるので、十分注意しましょう。

twitterの followerが法令が変わったことを知らずに1問落として不合格になった人がいます!

 

試験時に使えるテクニック

次元計算

正直こんなんで良いのかな、と思うときがあるのですが、次元計算をすると解けてしまう問題が出ることがあります。
例えばこの問題。

平成26年度7月期 無線工学B B-1f:id:okayan08:20160130212539p:plain

答えの単位は[W]になっています。問題で触れられている文字はI[A]とR_r[Ω]ですので、答えは48の2択ですが、単位を計算すれば8であることは自明です。

答えの単位は[m^2]です。ここで使う文字はP_A[W]とp[W/m^2]です。選択肢は13になりますが、これも同様に単位を計算すれば1であることは自明です。

ですので、もし答えがわからないときや、合っているか自信が無いときは次元計算による検算をやってみましょう。

 

他の問題からの答え導出

これも試験としてどうかと思うんですが、問題用紙の中にある他の問題に答えにたどり着けるヒントが隠れていることあります。
例えばこの問題。

平成28年度1月期 無線工学の基礎 A-18 f:id:okayan08:20160130213142p:plain

解き方を知らなければなんのこっちゃ?って感じですね。私も解き方わかりませんでした。

わからないので飛ばして先に進めると、思いがけないヒントが先の問題に隠れていました。

平成28年度1月期 無線工学の基礎B-5f:id:okayan08:20160130213153p:plain

 

あれ、どっかでみた図ですねさっきの問題と全く同じですね
未知抵抗の測り方ですが、分流則を考えれば8になりそうですね。
ってことはは分母ですから、足し算したらさっきの前提が狂ってしまいますから引き算になりそうですね、つまり7ですね。
あれ?これでさっきの問題を解くのに必要な公式が導出できましたね

…ということで、全くわからないときでも諦めずに問題用紙は隅から隅まで見ましょう。こんなサービス問題があることもあります。

 

丸め計算

先述の通り、この試験は全ての計算を手計算で行う必要があります。
マークシートの試験ですので答えをぴったり出す必要はありません
円周率を3.1で計算したりとか、場合によっては3で計算するなどしても答えにたどり着けることもしばしばあります。
計算しづらい数字は有効数字などをあまり気にせずに計算しやすい数字に丸めてしまうのもテクニックの1つです。
一通り解いて、時間に余裕があれば、きちんと計算し直せば良いのです。

 

問題文からの式の推測

手計算をしなくてはいけない試験ならではなのですが、手計算できないようなものは問題文に書いてあります。例えば「log5=0.7とする」など。
これを活用しない手はありません。
つまり、必ず計算のどこかで上記の式は出てきますので、出てこなかったときはどこかで計算が間違っている可能性が高いです。

※上記の丸め手計算を用いると出てこなくなることがあるので注意。

 

最後に

私は受験を決めて、最初の1年は購入した教科書類を全て寝かせていました。
受験を決めてから実際に取り組んだのは2年目からです。
資格を取得するまで1年かかりました。
受験できるのは年に2回ですから、モチベーションを維持するのが肝要です。

なんとか勉強をするために私がしたことは、

・周囲に受験すると宣言する
 ⇒後に引き下がれなくします。

・参考書に惜しみなく投資をする
 ⇒同じくお金をかけてしまえば引き下がれなくなります。また、技術への理解も深まるため一石二鳥。

・有料自習室を活用する
 ⇒静かで誘惑の無い環境に投資します。お金を払うから少なくとも借りた時間は勉強することになります。

・早朝に勉強する
 ⇒最後の追い込みの時は、始発電車に乗って通勤し、職場近くの早朝から営業しているお店にこもって毎日2時間勉強していました。私は夜より朝の方が誘惑が少ないため大変効果的でした。

などなど。

とにかく、この資格は勉強する時間を一定時間確保してしまえば、時間をかければなんとかなります。
これから受験する方は一陸技を取得できるよう、最後まで頑張ってください。
この試験は頑張れば頑張った分だけ結果が帰ってきます!